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私が美容室に就職したころは、ここまで様々な業態が乱立する業界ではなかったように感じます。
それこそ、他店舗展開している会社ですら「社会保険未加入」がほとんどだったような気がします。
今では社会保険加入も当たり前で会社にとってはたいしたアピールポイントにはなっていません。
今は初任給や営業時間内トレーニングなどがポイント高め。
とにかく福利厚生は充実しているのが当たり前で、そこの基準から「更に」となってくるのでしょう。
社会保険加入と未加入の状態を比べてみると、「どんだけ昔の美容室は儲かってたんだろう」と思うぐらい社会保険が占める経費の割合のインパクトはでかい。
そして何よりスタッフがそこまで「社会保険」に理解がなかったりする。
よくわからないけど「あったほうが良いもの」と教えられていて、詳細を説明できるスタッフはほぼいなかったりする。
中には「社会保険や税金を会社から引かれている」という被害妄想スタッフもいるそうですよ。
入社前にちゃんと説明しないとですね。
しかも、マイナンバーがどうとかで社保絶対加入の「Xデー」が来るなんて噂もあったのですが、
まあ何とも中途半端な感じで。
社保の負担を考えると、業務委託や面貸しは効率的だし成果主義。
美容師もスタッフの育成や店舗管理なども一切しなくていいので、会社の責任範囲を美容師側に移行できる部分もあり、美容師側もそれを理解していると思うので「win×win」の関係性ができるし、拡大もしやすい。
とても魅力的な業態だと思います。
だからほとんどの美容室がそうなれば、経営者も美容師も幸せですよね。
美容師も最低50万程度の売上があれば、生活はできるはずです。
場所もずっとそこじゃなくてもいいわけですし、集客が成功しているサロンに行けばよい。
移った先で気の合う人と出会って一緒に独立したり、付き合っちゃったり。
あ、なんか書いてて「楽しそう(^^♪)」っておもってきちゃった。
・フリーランス美容師は自分自身で営業時間を決められます。
昼から営業を開始したり、夕方に営業を終えたりも可能で効率よく営業時間を絞ったりもできます。
・面貸しやシェアサロンなど個人で働く場合には人間関係を気にせず働けます。
人間関係に悩んだ過去がある。そういった悩みを持つ人にとって、フリーランス美容師は人間関係の煩わしさから開放されて仕事ができるわけですね。
しかし、「会社」としては募集して美容師さんを集め続ければ継続できますが、
集められた美容師さん達はどうやって自身の美容人生を今後送っていこうとしているのでしょうか?
美容師として「最終完成形」となった自負があれば、人生イージーモードで生きていけるのかもしれませんね。うらやましい。
これは決して、独立・フリーランス・業務委託・面貸しを、真っ向から否定したくて言ってるわけではないので誤解しないでくださいね。
還元率とか歩合率とかが魅力的ですからもちろん「アリ」の選択だと思ってますし、自身の美容師としてのスタンスにマッチしていることが何より大事なので、たくさんの選択肢があることは美容師にとってうれしいことです。
ですので、あくまで「長期的」に考えたうえで判断して欲しいということです。
もちろんその中でキャリアアップなどのシステムがあったりすると思うので、それを目指すのはとても素晴らしい事なので。
実際休みも自由、お客さんいなかったら帰る、ストレスが無い、と言うのはよく聞きますし。
しかし単純に「時間も自由で、人間関係も楽で、最高じゃん♪」と思っていられるのは
「今」だけかと思います。
そのまま年をとっていきながら生涯現役という道を選ぶのでしょうか。
1人で、または数人雇用して独立するのでしょうか。
特に男性は。
しかし、こちらのどの道を進むにしても、ある程度の「覚悟」は必要です。
そのほかにも、
がないと差別化ができなくなります。
これは別に正社員で組織にいても同じなのですが、決定的な違いがあります。
それは、
「上からも下からも、何も言ってもらえなくなる」ことです。
美容師は時流・トレンドをとらえなければいけないし、常に進化を求められます。
そんな中、評価をもらえるのは、お客様がついてきてくれているという結果のみ。
もちろん、フリーランスや面貸しとはいえ、同業者の誰とも接しないわけではないので、ある程度のコミュニケーションで「いいスタイルだね」「上手だね」といった評価は耳にできると思いますが、
「あの仕上げはもっとこうしたほうが良いんじゃない?」とか
「もうちょっとトップ軽くしてウェイトも高いほうが似合ってたかもよ」
とか指摘してくれる人が、果たして何人いるか。
「全然ダメ!遅いしへたくそ!」
なんて言ってくれる人いますかね?
まあ、場合によっちゃ会社では「パワハラ」とか言われそうですが。
お客様が減っているという事態が起きたとき、その原因にどうやって気が付けるのか・・・。
そして忘れてはいけないのは、
正社員やフリーランスなどに限らず、
「今あなたの持っている技術は、誰から受け継いだ技術なのですか?」
ということです。
おそらくほとんどの美容師さんが、初めにお世話になった、もしくはアシスタント時代お世話になった会社の先輩や上司から教えてもらっているはず。
もしくは会社が委託してくれた講師だったりすることもあるでしょう。
ベーシックはトレンドなどに左右される部分は少ないですが、おそらくモデルカットなどは「その時のトレンド」が中心となってカットをたくさんしたと思うのです。
パーマにしろ、カラーにしろ、
一番吸収力のあった時期のトレンドが根強く残り、それを武器に少しづつ流行りを入れながら今まで美容師をしていると思うのです。
そして、組織にいるとベテランさんの仕事に触れることもできるのですが、それ以上に若くて流行に敏感なスタッフ達が、我々には理解できない感性を持っていたりして、「へー、こんなのが今は可愛いのか?かっこいいのか?」
とたくさんの情報を持っていたり、アイロンワークやカラー選定も我々の若い頃には無かったものをどんどん取り入れて、お客様に提供してるわけです。
技術的なもの以外にも、今若者たちの間ではやっているカルチャーやファッション、アーティストなどの情報も入ってくる。
何が言いたいかと言うと、
「自分自身の技術を、自分ひとりの力でアップデートできているだろうか」ということです。
今の時代を、「ちょっと古い感覚」で仕事をしていないか、ということです。
組織にいると、自然と若いスタッフおかげで自分の引き出しの中の「厚み」が増すことがあるのです。
組織においては、確かに上下関係は存在するし、時間の自由さも無い。
給与体系も完全歩合ではないだろうし、後輩の育成に時間を使ったり、ミーティングがあったり、年間の目標・月間の目標設定や行動計画、店舗管理やルール、挙げたらきりがないぐらいの「どーでもいい」と思ってしまうものもあるかもしれない。
しかし、こういったことで、「個人」では経験できない「チーム力」を育んで生産性を上げていくということが「組織」にはできるのです。
家族以上に長い時間を共にし、お互いを褒め合い、指摘し合い、見返りを求めず自身の学んだことを後世にもしっかり伝えていく。
広い世代の感覚や考え方を学ぶこともできるし、広い世代のお客様と接することで美容師としての幅も拡げていける。
「誰かのために、何かをする」という考え方は、美容という仕事の目的そのもののような気がするのです。
フリーランスになっても、独立しても忘れてはいけない事があります。
今あなたの指名してくれているお客様の、
何人が「あなたのいたサロンのお客様でしょうか?」
何人が「あなたの先輩から引き継がれたお客様でしょうか?」
今ある自分の売上が、自分ひとりの実力だけで獲得したお客様ばかりではないはずなのです。
会社や先輩の過去の遺産に助けられてゴハンを食べていけてる人も多いのです。
それは私も含め。
組織に属していると、新卒が入社し、どんどん技術を覚えていきます。
その中で、一生懸命自分の時間を使って先輩たちは指導してくれます。
早く帰りたい日もあるでしょう。
早く帰って恋人と、家族とゴハンを食べたいでしょう。
しかし、自分たちもそうやって先輩たちに教えてもらって今があるわけです。
自分たちは教えてもらって、後輩たちには教えずに早く帰る。
そういう人はだいたい「伸びません」「積み上がりません」
教えることで、自分が勉強になるのです。
だから教える人ほど「伸びます」「積み上がります」
忘れてはいけないことがもう一つ、我々は
常に「未完成である」ということです。
これが上下関係のわずらわしさ、拘束時間のわずらわしさから解放され、自分のことだけを考えればいい状態の中、
その時間を自分に投資し、自分から情報を取りに行く逞しさがあれば、独立してもフリーでも生きていけると思います。
独立したら、自分の評価を誰にしてもらいましょうか?
フリーランスになったら、どんな人たちとつながりましょうか?
私は、今だから思うのですが、
組織に属して、労働環境や教育システムを近代化させ、組織力を高める役割を担うポジションを目指すという道もあったのかな、
そのほうが、自分の存在価値を認めてもらえたりしたのかな、
「守られながら」
なーんて思ったりすることも。
独立しなくても影響力を持てる人はいると思うわけです。
人によって価値観が違うので、肯定も否定もしませんが、
自由な時間得て、煩わしい人間関係から解放され、
「何がしたいんでしょうか?」
たしかに、これからは一つの仕事にとらわれず、多様なスキルで稼ぐことも生きていくうえで必要になるでしょう。
是非、空いた時間は「無駄に消費する時間」ではなく「何かを生み出す時間」に充てていただければ、
さらに新しいタイプの美容師さんが生まれるのかもしれません。
会社としても「柔軟」になっていかないと、結果として「財産」を持ち出されるだけの組織になってしまいます。
そうならないように「組織改革」は常に考えないといけないですね。
長かったー。すいません↓おすすめ!