美容師になろうとしている人も、今まさに美容師の人も、
気になる、もしくは心配していると思うことはいくつぐらいあるでしょうか?
美容学生さんによく質問されるのは、
拘束時間・給料・営業時間外の練習・手当・カリキュラム・人間関係・・・、
現在の美容師が心配していることは、
将来・給料・年収・指名売上・人間関係・・・、
といったところでしょうか?
ちょっと「現実的」な話をさせてもらおうと思うのですが、
現在は美容師としての雇用体系も様々で、数年ほど前からの
大きなパラダイムシフトが起こっているわけです。
業務委託・フリーランス・面貸しなど美容師の働き方も増え、美容室をシェアして営むシェアサロンなる業態も生まれ、
「いったいどれが良いのか?」なんて思っている現役美容師・美容学生さんも多いでしょう。
しかしそれは「美容界」だけではなく、世間の社会人の皆さんも仕事の仕方や考え方、そして人生観など、決して「安心」した状態で現在の仕事を営んでいる人ばかりではないのです。
しかし美容師はどうしても狭いコミュニティで物事を考えてしまうし、
ある意味「生きる世界が狭い」もしくは「世界を広く見れない」性質も強くあると思うのです。
美容室しか知らない。他の事はよくわからない中、
「拘束時間が長い」「給料安い」「年収低い」「休み少ない」「先輩怖い」など
「ブラック」な業界に「入ってしまった」と思ってる人も多い。
「自分で決めた」のに。
じゃあ、実際どうなの?と言われれば、
おそらく、一見
ブラックです。
データも物語っているように
美容師の平均年収約280万円。(平均ですよ!もっと低い人もいるってことですよ!)
国家資格のある職業平均年収ランキングでは、常にワーストNO.1。
特にアシスタント時代は朝から夜まで忙しい営業をこなし、
朝・営業後はウィッグやモデルで技術の練習をし、
定休日も講習会やセミナーなどで自己投資。
スタイリストのなると売上のアベレージと向き合い、ただ技術をやればいいというだけでなく接客力や発信力など、「マーケティング」のセンスまで加わってくる。
一般企業のように役職と給与が上がっていく保証もないわけです。
それもそのはず。
お給料は「会社」が出しているわけではなく、来ていただいた「お客様」が支払っていただいたお金からしか出ていないので、自身の売上や会社への貢献度でしか評価されないのです。
他の業界から見たら、
「美容師なんてブラックそのもの。よくやれるな。」
と思われて当然と言えば当然な状況なのです。
なのにですよ、
美容師の総人口は2021年2月時点で、過去最高の53万3814人、
美容室件数に関しては25万1140店となり、過去最高を更新しているわけです。
ブラックなのにみんな意外と辞めずに美容師やってるし、なんなら増えてるわけですね。
ホワイ、ジャパニーズピーポーなわけです。
年収低くて重労働なのを知ってて辞めない美容師と
知っててこの業界に飛び込んできた美容師と
よくわかんなくて「消去法」で美容師選んじゃった人が
早々に美容師を取り巻く環境の現実に見切りをつけた人よりも多くいるってことなんですよ。
果たしてこれはいったいどういうことなのか?
これは、一般的・表面的な見え方と、
実際に長年美容師をやっている、もしくは、やり続けようとしている美容師のリアルな現実の間に、大きなギャップがあるということではないかと思うのです。
要は「こっち側」にしかわからない魅力なんて、「あっち側」には理解できるはずがないのです。
まだまだ日本には、仕事とは「労働の対価としてお金をもらう」「時間を切り売りしてお金に換える」ものであるという感覚がまだ残っていて、
「好き」を仕事にして生きている美容師のことなど理解できない人の方が多い。
だから年収とか時間などの側面からだけ見てしまうと「ブラック」ということになるのだろし、そもそも選択肢に入らない。
しかし美容師の中には、「つらい」とか「苦しい」時もあるけど、「好き」な事を仕事しにしてる時点で「楽しい」の方が勝ってる人が多いのは確かなのです。
好きな事を仕事にして、それを「ライフワーク」として生きているから楽しさがベースにあるのです。
しかし美容師の仕事そのものを、「生活の為」だけで考えてしまうからつらくなる。苦しくなる。
しかしそのまま美容師を辞めて転職しても成功する人は一握りかと思います。
転職して、そこに楽しさ・やりがいを見いだせれば最高なのですが、また「生活の為」マインドで仕事をすれば、同じことの繰返しになる。そんな人も多いと思うのです。
だからこそ、好きな事を仕事にするとか、夢を持って好きな事をひたすら追求し続けるというパワーを持てることは人生において素晴らしい事だと思うのです。
「お金」を追い求めて幸せになるのではなく、「好き」な事を仕事にし、それを追求した結果「お金」がついてくる。
であればそちらの方が「幸せ」だと思うのです。
見えない「成功」を追い求めるのではなく、見える「成長」にこだわり続ける。
そんな仕事だと思うのです。