1店舗になってしまった「しくじり」の歴史 その③「社員との距離感」でしくじる

「しくじり」から学ぶ美容室経営。

弊社は「社員の意見を柔軟に取り入れる」風通しの良い環境・・・

素晴らしいですね。

オーナーと社員が共に経営や事業に関して意見を出し合う。

社員は家族!

 

とても憧れます。

しかし、本当の家族ではないのですよ。

家族は、親であれ子供であれ、家族みんなのこと考えてると思うのですよ。

 

サロンの方向性、将来を考えるうえで、「スタッフの意見や希望」を聴くことは、一見とても良い社風のように思えるでしょう。

これでどんどん業績が上がり、より強固な関係性をスタッフと構築できることはとても意味のあることだと思ます。

こうして発展していきたいものですね。

 

しかしながら、結果としてこれはうまいかない事が多いです。

ていうか、うまく行きませんでした・・・。

 

大前提として、

オーナー → 主に会社全体のことや将来を考えている
スタッフ → 主に個人の損得で考えている

もちろん、自分のことしか考えないオーナーもいるし、会社のことを優先して考えるスタッフもいると思いますが、↑のような考え方が一般的かと思います。

実際に本当の家族のように組織を築けている会社もあるともいますし、

それはとても素晴らしい事です。うらやましい。

 

「社員の声に、耳を傾けよう」

そう思った時、あくまでも傾けるのは「個人」の悩みや将来の夢。

決して「事業」のことに関して意見を求めてはいけない。

サロンのコンセプトやメニュー開発や価格、出店計画や事業計画・・・。

大きなお金が動くことや、大きくサロンの方向性を転換しようとするときは、あくまでもオーナー自身の計画や想いを最優先に推し進めるべきかと思います。

オーナー以上に会社やスタッフをことを思ってる人はいないはずです。




意見を聴いてしまったら、「少しでも応えなければいけない」「意見を尊重しなければ信用を失ってしまうのでは」という心理から、なんだか中途半端に薄まった結果になったり、いろんな人の意見を取り入れすぎて一貫性がなくなりサロンによってイレギュラーな事例を作ってしまったり・・・。

 

あまりいい結果にはなりません。

 

実際にあった例として、

「自分ですべての技術を最初から最後までマンツーマンでやりたい」という希望をしてくる店長に、他のスタイリストとは異なる給与規定などを作ったことがあります。

あまりお客様をかけ持ちたくない、アシスタントに下手なシャンプーして欲しくない、

そんな気持ちが少しあるのはわかってはいましたが、

時代の流れもあり、将来的にはそういうスタイリストも多くなるだろうというのもあったので採用したのですが、結果として、「アシスタントを育てたくない」「新卒もいらない」というスタイリストの集団を作ってしまうことに・・・。

せっかくの見学希望や入社希望も他の支店に回したり断ったり・・・。

自分が求めるサロンのスタイルをやめて、スタッフの意見を取り入れた結果です。

もちろん、そこには私の準備不足があったと思いますし、有能な経営者ならここから事業を発展させていけると思います。

しかし、システムやルール・将来性というものを先にしっかり構築してから始めなかったがために、「個人の損得」だけのサロンになり、間違った方向に進んでいったわけです。

だとしてもチームとしてお互いの関係性が良い状態で居続けられればいいのですが、一度関係性が崩れると一気に崩壊します。

そのサロンに求人をしたところで、新しいスタッフといい関係性を作るのは不可能な気がします。

人数が増え、席数も限られるので、「新しくお店を出してほしい」というスタッフもいましたが、実際出店が決まり物件の契約も済んだ直後、「結婚するので彼の実家の方に引っ越すので退社します」といって退社したスタッフもいました。

その後そのスタッフは退社後すぐに近隣のビルの美容室で働き始めましたけどね。

まあ、そんなもんです。

会社を救ってくれるのもスタッフ、崩壊させるのもスタッフ、

しかし!

すべてはオーナーである私が招いたこと。自己責任です。

高い授業料を払いました・・・。

 

たしかに、辞められたら困る。

だからつい、スタッフに依存してしまい、顔色伺っちゃいます。

「属人性」が高くなり、「人」に振り回される経営。

 

しかし、自分自身も独立して、今があります。

どんなに愛情を注いだ社員でも、

辞める時は、辞めてしまう。

 

であれば、自分を理解してくれるスタッフだけで、良いと思いませんか?

他店舗展開できないオーナーのボヤキでした。

 



 

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