経営者の頭の中は、初めから経営者脳だったわけではない。

「しくじり」から学ぶ美容室経営。

よく、「当事者意識」なんていう言葉を耳にします。

これは自分ではなく、相手の立場に置き換えて考える意識ということのなのですが、結果としてそう簡単に「当事者意識」になれるわけがなく、もし若くしてこの当事者意識を持てたらとっくに人生イージーモードです。

スタイリストはアシスタントに、

「スタイリストになったことを考えて動いてみて」という。

店長はスタイリストに、

「店長の立場だとしたらどう動くか考えてみて」という

オーナーは店長に、

「自分が経営者だったらを想像して考えてみて」という

オーナーは他社のオーナーの成功事例ばかり聞いて、

「俺だってできる」と思う。

そう簡単にいかないのですよ。
見てない景色をくっきり思い描いて動くことなんて。

人間、なってもいないのに、経験もしていないのに「当事者」のように考えられるわけもないのだ。

 

しかし、逆なら考えてあげられる。

自分がアシスタントの時は、スタイリストのことをこう思ってたよ。

自分がスタイリストの時は、店長のことをこう思ってたよ。

自分が店長の時は、オーナーのことをこう思ってたよ。

自分が成功してるときは、調子に乗ってたよ。

まあ、調子に乗らなければ、降ろされる経験もしないから、それはそれで貴重な経験。

 

共有しなければいけない事は、

会社がどう成長するかよりも先に、「スタッフがどうなれば幸せを感じてくれるか」

会社がどう成長するかよりも先に、「自分が幸せと思えることは何なのか」

 

自分がスタッフとして雇われているときに、幸せや成長を感じることができたのは、「指名客が増える」ことで「会社から高く評価される」ことにより「給料が上がっていく」ことが大きな喜びでした。

実際私は、「昇進」「役職」に興味はなく、美容師として評価される、認められることが一番の喜びだった気がします。

店長などの責任あるポジションで手当て貰ったとしても、やはり「責任」というものが重たく感じ、むしろ逃れたいことでもありました。

責任を持たずに、良い給与をもらえれば、それが一番良いと。

なかなか、そうはいかなかったのですがね。

 

美容師を純粋に楽しみ、その結果を評価されること。

もしかしたらスタッフの幸せは、まずここなのではないかと。

会社が大きくなり、店舗数が増えようがスタッフ数が増えようが、この基本的な幸せを多くのスタッフが感じていない限り、新たに幸せなスタッフは生まれない。

幸せなスタッフが増えないのに、店舗ばかり増えてスタッフの収入が増えなければ、スタッフは「隣の芝生」を青く感じ始める。

 

経営者はどうしても「スタッフ脳 → 経営者脳」に切り替えなければならない。

経営者になりたくて美容師になったわけではないのに。

変に美容師の気持ちもわかってしまう。

でも経営者と従業員というのは、どこか相反する関係というジレンマもある。

だからこそ、視点が全く違う「非美容師経営者」が業績を伸ばせるような気がします。

美容師経営者は、つい視点が美容師目線だったり、「技術者」としてもやれてしまうことが、ある意味「覚悟」に欠けるのかもしれませんね。

 

しかし、店舗拡大だけが「正解」や「成功」なのでしょうか?

私は、業界の渦中に飛び込む形で店舗拡大こそ成長だと思ってしまいましたが、その渦をちょっぴり遠くから眺める視点と、自分自身の足元をじっくり見る視点を持った時、まずやらなければいけない事は、スタッフだけでなく「自分も本当に幸せか」「自分が幸せと感じているか」を大事にしなければ、店舗展開に意味を持たせることはできない。

何より、店舗が増えていくことを、スタッフはうれしいと感じていない。

仲間が増えるのはうれしいが、スタッフが増えれば相性の良い人も増えるが、相性が悪い人も同じように増える。

そのせいで優秀なスタッフが辞めるなんてこともある。

「店舗よりも、給料増やしてくれ」

これが本音かもしれない。

なのであれば、「給料増やすから、俺も報酬増やすね」
だからまずは「一緒に売上を上げることだけ考えよう」

「無い袖は振れない」ですから。



タイトルとURLをコピーしました