当時の社長(オーナーとは別)やレセプションの協力もあり、店長就任から半年も経たずに売上を300万、そして400万という大台に載せることができた。
この数字は会社においては過去最高であり、現時点でも私の記録は破られていないらしい。
まあ、某関係ディーラーの話なのでホントかどうかはしりませんが・・・
数字だけで見れば、たしかにすごいかもしれない。
しかし、嬉しいかと言われれば、なんとも複雑である。
300人の指名客以外にも新規客を鬼のようにこなさなければいけない状況を、果たして幸せと言えるかは疑問。
周囲からの、「すごいね」「やばいね」「どうやってんの」という声とは対象的に、本人としては「うーーーーん?」という懐疑的な面もあった。
というのも、そもそも「単価」が低めなのだ。
その時はそういうサロンが多く、そこまで疑問には思わなかったが、
単価を上げようとすると滞在時間が長くなる。メニューが増えるからだ。
そうすると、席がなくなるのだ。
つまり、「量をこなせるかどうか」の勝負になる。
そう、
「雑」に言うと、どうしてもお客様に対して「雑」になって、「ザル」になるのでごザル。
仕方ないといえば、仕方ない。
この売上をやってみて、「ゆっくり、丁寧にやりたいから入客をあまりしたくない」人の気持が少しはわかるようになった。
今となっては、これだけ指名客がいたら、値上げすればいいじゃんとなるのだが、当時はそういう空気ではなく、そういう意見も強くいえなかった。
この安売りのなか、会議で店長は、
「単価低いね、もっとメニュー提案できないの?」と詰められるのである。
狭い世界で周りが見えなくなるのは危険だな、と、今となれば思うのだが、当時の多忙を極めるなかで柔軟な思考になれるほど余裕がなかった。
大手ディーラーが主催する経営勉強会に毎月出席し、それぞれの会社の売上を公開し、それに対してイケイケな経営者や幹部が意見交換をするという、私にとっては地獄のような会があった。
そこでも私の売上はフォーカスされ、いろいろな質問がくるのだが、今となってはどんな受け答えをしたか覚えていない。
なんだか威圧的なディーラーのジジイが会を取り仕切るのだが、嫌味な言い方で攻めてくるのだ。
今ならパワハラで訴えてもいいレベルだったように思う。
とにかく、
私に求められるものは「売上」
そしてどんな劣悪な環境でも離職者を出さないこと。
この2つができなければ店長としては失格で、居心地はどんどん悪くなる。
よく壊れなかった。
自分を褒めてあげたい。
家族と時間が取れず、離婚を考えるところまで仕事に没頭しすぎたことは、
褒められたものではないが。