近年、日本においてあまり耳にしなかったが、徐々に耳にするようになった来た言葉「貧困」。
貧困と言うと発展途上国だけの問題と思っている方も多いと思いますが、日本でも貧困は社会問題となっています。
貧困には大きく分けて必要最低限の生活も送ることができない「絶対的貧困」と税金などを引き、生活などで自由に使えるお金が国内の平均(等価可処分所得)の半分に満たない「相対的貧困」の2つに分けられますが、今の日本では後者の相対的貧困が社会問題となっています。
そう、今の日本は「貧乏」なのです。
私はずっと日本は「豊かで世界一治安が良い国」と教えられてきました。
日本人として生まれたことに幸福を感じています。
それは今もそうなのですが、どうやら我が国はそうも言ってられない未来へと一直線に加速しています。
30年間、平均給与が横ばいなのにどんどん国民の税金を上げ続ける世界唯一の国。
政府の緊縮財政、ただでさえ景気を悪くすると言われているオリンピックはコロナウイルスで延期どころか開催も不安視され、増税は確実とされています。
それなのに家賃や生活費などの高さは毎年世界の上位トップ5にランクインします。
残念ながら、明るい未来は描けません。
私たちの業界も、どんどん効率化が進み、あらゆる角度から経費削減と人員削減が加速しています。
経営者は人財を雇うことのリスクを抑えるために社員ではなく業務委託のみのサロンに転換し、低料金で集客。基本給ではなく、ノーワークノーペイ。
カラー専門店・カット専門店でチケット制を導入し、カラーに関しては薬剤の塗布と自動シャンプーマシーンへのオペレーションのみで、スタイリングはセルフ。
とことんまでサービスを必要最低限にミニマム化して回転率を上げて利益を捻出。
貧困化する日本にとってはコストパフォーマンスの良い業態がたくさん生まれ、選択肢も増え、難しい作業などもそこまで必要なく働ける場もできることはむしろ良い事です。
経営者は利益を追求する責任があります。
社員を守る責任があります。
会社を存続させるためにはなりふり構わず大きく舵を切らなければならないことが、これからやってくるでしょう。
しかし、私の判断基準の中に常にあるものは、「色」と「熱」です。
違う二人がカットした、一見同じに見えるカット後のスタイル。
違う二人がカラーした、一見同じに見えるカラーリング。
二人並んでシャンプーしているが、一見同じような動きをしている。
同じ地域にある、一見同じ雰囲気の店構えのサロン。
でも両者の料金体系にはものすごい差がある。
一方は平均単価5000円、そしてもう一方は10000円
やっていることは同じことだし、同じ仕上がりにしか見えない。
だとするのならば、何が違うのか。
それが、「色」と「熱」の違いなんだと思います。
これは実際に施術を受けたお客様にしか感じていただけない要素なのです。
サロンの中のスタッフが、色と熱を強く持ってお客様に接してる人が多ければ多いほど、そのようなサロンになるし、
色も熱も薄いスタッフが多いサロンは、色も熱も薄いサロンになります。
お客様から指示されているスタイリストは、やはりいい意味で分かりやすく明るくきれいな色を発し、高い熱量でお客様と接し、その場だけでなく未来への提案や来店のことまで寄り添っています。
温かいから、周りにもそれは伝わります。
もっと上級者になると、赤い炎よりも熱いと言われる、青い炎を発して素早く丁寧に仕事をするタイプもいます。
その逆のタイプももちろんいるのです。
仕事は作業。言われたことだけをやる。以上。
無色透明と言えば聞こえはいいのだが、とにかく色を感じない。熱を感じない。
お客様の頭だけを見て、お客様の人生を見ようとしない。
どちらであっても仕事としては成立しますが、たとえ同じようなスタイルだったとしても、施術されたお客様には全然違った感想になるはずです。
安いことが悪い事ではない。価格以上の価値を提供し続けているからこそ繁盛している。
そしてある程度の企業規模、資金力があれば良いのだが、N’SOLはお世辞にも大きいとは言えない。
価格を安くしてたくさんお客様の来るお店にしたら、お客様もスタッフもうれしいのだろうか。
ひっきりなしに来るお客さんで無駄にお待たせする中で、スタッフの色と熱がお客様に伝わるのだろうか。
薄利多売を加速させて、スタッフは疲弊しないだろうか。企業は永続できるのだろうか。
それを頑張って解決していくのが経営者なのですが、まだまだ力不足で申し訳ない・・・。
私は、たとえどんなに日本が貧乏になって、お金を切り詰めなければならない状況でも、人間、特に女性の「常に美しくありたい」とうい気持ちの色と熱が、薄れていくことは無いのではないかと思っています。
見た目が綺麗になればそれでよい、のかもしれませんが、
N’SOLは心、気持ちも綺麗にできる場所でありたいと思うわけです。
だからこそカウンセリングも入念に、シャンプーやスパやマッサージもこだわって、美容師にしかできないケアとスタイリング、1年に数回の特別な非日常空間は、ぜいたくに過ごしてほしい。そう思うわけです。
無駄なサービスなど一つもないのです。
私は今後の美容室の未来から、この「色」と「熱」が無くなることはあってはならない。
むしろもっと濃く、熱くしていかなければならない。
そう思うのです。
「N’SOLちょっと高い。」たまに言われます。
おそらく、色と熱が伝わらなくなってきたのかもしれません。そこは気を引き締めなおさなければ!
猪木みたいに闘魂注入です。そこは。
「浮気してちょっと染めちゃった。」「ちょっと切っちゃった。」
いーんです。
いいんです。いーーんです。
大事な瞬間、大切な日、
N’SOLのスタッフに会いに来てくれれば良いのです。
でもできれば毎月来て欲しいなー。はーははっはー。
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